まず仕様を固定する
立ち回りを論じる前に、議論の土台になる確定事実を並べる。ここから先の結論はすべて、この仕様だけを根拠に導かれる。
- 開催時間は夜21:00〜深夜2:00の計5時間
- 勝利条件は2つ。①連続2.5時間の占拠で即決勝利。②5時間で①が出なければ累計占拠時間トップが勝ち。連続は1秒でも途切れるとゼロリセット。ただしマッチングが適切なら①は攻め有利の仕様上ほぼ成立せず、実質②で決まる
- スコアは占有時間の合計。占有していた時間の長さだけを同盟間で比較する
- 集結は1行軍・個人単位。1人が同時に出せる行軍は1本のみ。着弾までは5分/10分の選択制
- 行軍時間は太陽城との距離に比例する(近いほど速い)
- 自同盟が占領中のマスには集結できない
- 待機中の集結は、いまそのマスを保有している側にだけ見える。奪う前の相手からは見えない
- 補充(援軍)は行軍枠の外で行える。ただし太陽城に駐屯している兵士数には容量という上限がある
占有時間を決める、たった一つの式
実際の勝敗はほぼ累計占拠時間のトップ判定で決まる。スコアが占有時間の合計である以上、自分の取り分は次の一行で完全に表せる。
総時間(5時間)は固定。だから自分の占有可能時間を伸ばす方法は、論理的に二つしかない。(A) 自分が持っている時間を延ばす(守り切る)か、(B) 相手が持っている時間を削る(速く取り返す)か。すべての立ち回りは、この二つのどちらかに還元される。
そして個々の戦闘の勝敗は、常にこの比較で決まる。
主の戦力は育成・編成で決まる固定的な地力。兵士数は投入されている頭数で、戦闘のたびに増減する可変値。ここで、集結を打つ行為は相手の兵士数を削る行為であり、補充は自分の兵士数を戻す行為だ。この対応関係が、以降すべての説明の共通言語になる。
構造的事実:最初の5分は必ず献上する
太陽城を奪われた瞬間を考える。すぐに取り返そうと集結を組んでも、着弾までは最短で5分かかる。つまり奪われた側は、どうやっても最低5分は相手に占有される。これは腕前や戦力とは無関係の、集結時間ラグという仕様が生む下限だ。
この「必ず献上する5分」が、あらゆる立ち回りの起点になる。以降の話は、この初動の5分より後を、いかに削るかに尽きる。
攻めと守りは非対称——完全防御は存在しない
ここで、守りには構造的な天井があることを押さえておく必要がある。攻めと守りは、行軍の出し方からして非対称だ。
攻め=人数ぶんだけ本数を出せる
集結は多人数が1本に合流する仕組みだ。1人1行軍でも、同盟に100人いればそのぶんの集結を並行して組める(10人の集結なら10本)。攻めの本数の上限は、実質「動員できる人数」であって、非常に高い。
守り=容量が天井
一方、守る側は駐屯主1人の兵士数の容量が上限だ。補充してもこの容量までしか戻せない。だから、同格の集結が容量を超える本数で飛んできたら——たとえば容量100万の駐屯に、同格100万の集結が10本着弾したら——差し込みでキューをどう捌こうが物理的に守り切れない(戦力に大きな差がないと仮定)。
守りには絶対的な天井があり、攻めにはそれがない。ゆえに完全防御は仕様上不可能。占有時間の最大化は「守って延命する」だけでは完結せず、必ず「奪われても最短で取り返す」との合わせ技になる。
守って延ばす手:差し込み
(A) 守って占有を延ばす具体策が「差し込み」だ。これは容量の範囲内で、キューの処理順を利用して延命する確率的テクニックになる。
着弾はキュー順で1件ずつ処理される
駐屯への着弾は、たとえ画面表示上は同じ秒でも、内部的には順番(おそらくミリ秒単位で管理)に1件ずつ処理される。ここに補充を割り込ませるのが差し込みだ。
敵が集結を2本連続で着弾させてくる場合、本来なら「1本目で兵士数を削られ→2本目で陥落」する。だが処理の間に補充を1件挟めれば、「1本目を弾く→補充で兵士数が戻る→2本目も弾く」が成立し、守り切れる。
補充のキュー位置で成否が決まる
問題は、画面が秒単位でしか表示されないため、狙って「間」に差し込むのは技術的にほぼ不可能なことだ。現実には、複数人が同着で補充を撃ち込み、誰かの1発が運よく間に入ることを狙う確率戦になる。
以前は集結の着弾時間を合わせること自体にプレイングスキルが必要だったが、仕様変更でそこは容易になった。一方で補充をその時間に合わせるにはいまもプレイングスキルが要る。ここでも守り側が不利だといえる。
すべての起点:初手を取れ
ここで一度、最も理想的なケースを考えると、初手の価値がくっきり見える。これはあくまで初手の価値を浮かび上がらせるための思考実験で、前節までの通り現実には攻めが有利で完全な均衡は起きない。
理想均衡では、初手だけで勝敗が決まる
双方の戦力が完全に同等で、遅延ゼロで同じ立ち回り(後述の前借りリレー)を回せたとする。すると占有は5分ごとにきれいに交代し、5時間=60スロットを両者が交互に取り合う定常状態に入る。
この状態では占有時間は完全に均等(30スロットずつ)になり、差がつくのは最初の1スロットをどちらが取ったかだけ。初手を取った側がそのぶんだけ勝つ。
現実に均衡は存在しない。だが初手の価値は常にプラス
もちろん、完全な均衡は現実には起こらない。反応の遅れ、操作精度、容量差、戦力差が必ず絡む。それでも初手を取る価値がゼロや負になることは、仕様上ありえない。理由は独立した2層に分かれる。
初手を取れば、相手が奪い返すまでの時間はまるまる自分のスコアになる。相手の奪還には最低5分の着弾ラグがかかるので、最低5分は無条件で自分の取り分。相手が誰でも、戦力差がどうでも、必ず得られる。
初手を取ると自分が「守る側」、相手が「攻める側」になる。守る側は補充(枠外・無制限に回せる)で延命でき、攻める側は弾かれると帰還・回復を待つ間に足が止まる。つまり相手に不利な役割を押し付けられる。ただしこの有利は「相手の物量が容量内」のときだけで、容量を超えれば消える——それでも層1は消えない。
奪われた後:自同盟で完結する取り返し
(B) 相手の占有を削る、つまり奪われてから取り返すまでの空白を最短化する。味方の連携なしに自同盟だけで完結する手段は、仕様上ふたつしかない。
手段1:10分集結の前借り(リレー)
1人が出せる行軍は1本きり。だから前借りは1人では回せず、複数メンバーで枠を分担するリレーになる。仕組みはこうだ。
奪還する部隊とは別のメンバーが、あらかじめ長め(10分)の集結を走らせておく。占領が自分に移れば、その集結は保有者にしか見えない仕様で敵から消える。敵が奪い返してきた時点で、この矢はすでに残り時間が減っているぶん、早く着弾する——反応の遅れを前借りしているわけだ。キャンセルもでき、人数がいれば残り時間の違う矢を多段で仕込める。
手段2:単騎で抜く
集結のラグを使わず、単体の行軍で直接奪いに行く。相手の戦力(主の戦力+兵士数)を単騎で上回れる場合、たとえば相手が奪還直後で補充がまだ済んでおらず、兵士数が最も薄い一瞬を突ければ成立する。集結を組む必要がないぶん、最も速く手を出せる。
戦力帯ごとの立ち回り
ここまでの仕様を踏まえると、実際に取れる手は自同盟の相対戦力がどこにあるかで階段状に決まる。自分がどの帯にいるかは、イベントのランキングでおおよそ判断できる。
帯2を深掘り:拮抗帯で見るべき3つの指標
拮抗帯では、守っても差し込みの運が絡み、攻めても1本では抜けきらない。だから「いま何を狙うか」をリアルタイムに判断し続けることが、そのまま占有時間の差になる。判断の軸は次の3つだ。
- ① 占有トップの現在状態:トップが駐屯中なら集結の狙い候補。ただし打つ前に、他同盟が集結をかけていないかを必ず確認する
- ② 他同盟の集結の有無と着弾タイミング:例えば他同盟の集結が着弾してトップが剥がされる→トップが再集結をかけ直すと読めたら、その再集結にかぶせて自分も集結を出し、トップの占有を下げにいく。復帰のタイミングを狙い撃つ
- ③ 上位・下位同盟との占有時間差:トップを叩いて得なのか、2位を突き放すべきなのかは、占有時間の差分で変わる。常に差を睨みながら最適手を選ぶ
この3つを分単位で更新しながら、集結の狙い先を動かす。拮抗帯の勝敗は、個々の戦闘力よりもこの盤面把握と判断の速さで決まる。
現実
5時間の長丁場を、同じ条件がずっと続くことは稀だ。
戦力の要素である兵士数は、守り側では駐屯人数、攻め側では集結人数になるが、時間が経つほど減っていく。0時を回った深夜まで起きて頑張れる人数には限りがあるからだ。そうすると3本出せていた集結が2本になったり、駐屯も砲台で削られた兵士数の回復が追いつかなくなったりしてくる。指揮官は5時間ものあいだ、刻一刻と変わる状況を把握しながら、眠気と戦いながら操作し続けなければならない——そういう過酷なイベントだとも言える。
また参加者の多くは、前段で述べた帯3であることが多い(少なくとも筆者の鯖・世代では)。その帯では、報酬に必要なポイントを稼いで帰還する人も多い。とはいえ、2週に一度、鯖のプレイヤーが全員中央に集まってわちゃわちゃする賑やかなイベントであることは確かなので、それぞれの楽しみ方で参加できればいいと思う。